伊香保温泉に見る「聖地巡礼」ツアーの形

最近はアニメ作品が１クールに何本も放映されています。国内アニメ産業市場は2015年の試算で1兆8253億円とされているほどです（一般社団法人日本動画協会「アニメ産業レポート2016」調べ）。一方で、映画においてもアニメ作品がメガヒットを飛ばしています。ひと昔前ならジブリ作品ぐらいしか思いつきませんでしたが、新海誠監督の『君の名は』や女優ののんさんが声優を務めた『この世界の片隅に』など社会現象になる作品も多くあります。

そして、最近のアニメの特徴は実在の街が舞台になっていたり、作品のモデルになっていること。作品鑑賞後、これらの舞台をリアルで巡るのがいわゆる「聖地巡礼」と呼ばれるものになります。最近では、この聖地巡礼を絶好の観光企画と捉え、旅行会社や行政が率先して企画を立てて実施しているみたいですよ。例えば、日本の温泉地として有名な伊香保温泉でも近畿日本ツーリスト個人旅行との共同企画でTVアニメ『美男高校地球防衛部LOVE！LOVE！』聖地巡礼ツアーが実施されて大変好評だったようです。伊香保温泉各地にアニメのキャラクターのパネルがあったり、宿泊施設にお持ち帰りできるオリジナルアメニティグッズを用意したり、さらに参加者限定のスペシャルイベントをセッティングしたりと新たな客層を呼び込む戦略だったようです。

聖地巡礼は、確かに新規顧客獲得のきっかけになるでしょうが、いわゆる「いちげんさん」で終わってしまってはもったいありません。リピーターに繋げる工夫をしないといけません。その点でも、伊香保温泉は元々日本屈指の温泉街という超強力コンテンツがあるからこういった戦略は有効でしょうね。伊香保温泉はアクセスも良く、都内からだと十分に日帰りできる温泉地です。伊香保温泉よろこびの宿しん喜のように、標高800mの絶景ポイントで入れる絶景温泉旅館もあったりと日常の嫌なことや疲れなど、入浴で垢と一緒に流れてしまことでしょう。

この企画は大変評判だったといいますので、アニメに観光地が乗っかるかたちだけではなく、町おこし的に観光地とアニメ制作会社が協力してこういった仕掛けを打ち出していくと更に経済効果は高いものになるでしょう。ただ、作品を作っただけではだめなのが難しいところではあるでしょうが。アニメで地域活性、ますます盛んになって欲しいですね。